久しぶりに更新するのにこんな話題もなんだけども、なんかすごい夢を見たのでここに書いておきたい。


 俺はどっかの離島にいて、その土地独特の建築様式みたいなのの取材に来ていた。その一環で、地元の名家みたいなとこで家を見せてもらうことになっていた。
 訪ねてみると家主は人は親切な人で、あれもこれもみたいな感じでいろいろ見せてくれる。ただ、案内されてるうちに俺はちょっと変だなと思い始める。家の敷地に、家族以外の人がたくさんはいってくるのだ。何だろうと思って俺が家主にきいたら、実はこれからこの地域の土着の祭がある、よかったら見ていかないか、みたいなことを言われた。こっちも取材で来てる身だし、ネタが増えるのはうれしいので、喜んで見せてもらうことにした。

 持参してたジャージに着替えて家の敷地内にある会場に行く。そこは全体が階段状に段々になった広場で、集まった人たちはみんな一方を向いて段差のところに座ってる。なんだかじっとりとした、不気味な雰囲気の空間だった。俺はその一段目の端の方に座った。犬に関する祭だという話。
 しばらくして、祭が始まる。空は気色の悪い色をしていて、場は湿った緊張感に包まれる。祭の始まりと同時に、会場には一匹、イノシシみたいな巨大な犬が放たれた。犬は段差に沿ってすごい勢いで走り回っていて、それに向かって観客は怒声をあげる。罵倒する。子供は石を投げる。俺はなぜかわかんないけどその犬が雌犬だってことに気づく。
 犬が会場を何周かしてちょうど俺の前を通り過ぎようとしたとき、突然、方向を変えてまっすぐ俺の方に飛びかかってくる。逃げる暇さえなかった俺がとっさに犬を抱き抱えると、そのまま犬は大人しくなった。と思ったら、膝の上になんか液体がかかる感触。最初、犬がおしっこしたのかと思ったんだけど、それにしては犬の様子が普通じゃない。いつのまにか隣におばちゃんがやってきて「がんばって、がんばって!」とか言っている。
 犬の巨体に隠れて俺の視点からは膝の上でなにが起きてるのか見えないんだけど、感触や、周囲の様子から、犬が出産しているのがわかった。その巨体を俺の上に預けながら。俺の膝には、定期的に血だか羊水だかわからない液体が注がれる。俺はそれが終わるまでずっと犬を抱えたまま、あまりの状況に失神しそうになるのを耐えていた。ボトリとなにか固まりが落ちる感触がした。

 次のシーンは翌日で、その夜は家主のところに泊めてもらったみたいで、ジャージも洗濯してすっかりきれいになったものを丸めて返された。なんかおみやげもくれた。
 家に帰って荷物の整理をしてたらそのおみやげが出てきて、開けてみる。中身は精肉してパック詰めされた肉だった。俺はそれを冷蔵庫に入れる。そして洗濯してもらったジャージをタンスにしまおうと思ったとき、ジャージの中でなんかがうごめいてるのに気づいた。
 ここで俺はすべてを察した。おみやげにくれた肉、あれは俺の膝の上で出産していた、あの犬の肉だ。このジャージの中でうごめいてるのは、あのとき生まれた子犬だ。あの島であの犬はなんか厄災みたいなものを司っていて、こうやって旅人にその肉と子供を持ち帰らせることによって、穢れを島の外に排除するような、あの祭はそういう儀式だったのだ。俺は生贄として利用されたのだ。

 それに気づいた俺は心底背筋が寒くなったんだけど、意を決してジャージをほどいてみる。中で動いてたのは子犬じゃなくてゼンマイの首振り人形みたいなおもちゃで、肉も食べてみたらふつうのおいしい豚肉だった。おわり。


 破綻や飛躍の少ないストーリーに、終盤で真相が明らかになる展開。夢なのに妙によくできていて不気味だった。でもそれより俺が驚いたのは夢なのにオチがついているところで、せっかく俺が寝てるのに、俺の脳はなに俺に無断でがんばってるんだ。猛省を促したい。