リリー・アレンを借りてきたので聴いている。たぶんアルバムが出た年の2006年の話だと思うんだけれども、当時俺はまだ蒲田に住んでいて、駅ビルにちょっとした買い物に行ったときに隣のテナントの服屋から流れてくる smile を聴いて、ああいい変メロだなあと思ったのだ。そのときは誰の曲だかぜんぜん知らなかったし調べることもしなかったのだけれども、最近なんか別の調べごとをしてるときにたまたまこの曲と再会した。




 こういう感じで、ちょっと耳にした知らない曲とあとで再会する、ということが年々増えてきている。リリー・アレンなんかは売れっ子っぽいのでまだありそうな話だけれども、最近だと Blue King Brown とか、あといろいろあった気がするんだがとっさに出てこないな、とにかくそんな感じで、昔は店のBGMでかかってる曲をよく店員にきいたりしていたんだけれども、最近はそれもしなくなってきた。あとで調べりゃわかるだろって感じで。


 原因はいろいろ考えられるんだけれども、ひとつにはたぶん検索スキルの向上。、ネットで検索するには耳で聴いた音しか情報がない状態からそれをキーワードに落とし込んでいく作業が必要なんだけれども、その辺のコツをつかんだというのはあると思う。あとどういう系統の音はどこで調べるべきかとか。
 ただそれ以上に考えられる原因として、パッと1回聴いた音をすごく覚えてるようになった、というのがある。店でかかってる曲とか試聴した曲とか、果ては夢で聴いた曲まで、なんだか知らないがずっと後まで異常に覚えている。そんでどこかでそういう曲と再会したときに、あ、これあそこでかかってたやつだ、って思い出すのだ。


 こういう自分の成長のしろとしてまったく予想していなかった能力が伸びていくのは、なんだか超能力を獲得したような感じで面白い。ただよく考えてみたらこれは、同じ曲を2回目に聴いた時に初めて発揮される能力なわけで、再会の確率を高めるのには何の役にも立ってないのだった。というかこういう記憶のおかげで再会を実感するタイミングが増えただけの話で、本当は昔から(それと気づかないだけで)同じくらい再会してたかも知れず、再会する頻度は増えてなんかないのかもしれない。それなのに店員にBGMの事をきかなくなったので、これはせっかくの出会いを無にしているだけなのかもしれない。なんだよ。




 昨日の話だけれども、クラムボン野音。あいにくの雨もものともせず、すげえいいライブだった。前のアルバムがいまいちだったので最近ちょっと冷めつつあったクラムボン熱も、また再燃という感じ。俺が昔盛んに物凄い物凄いって言ってたあの感じとはまたちょっと違うのだけれども、それは野音っていう会場のムードもあったりして、凄みだけがライブのすばらしさではないのだ。今回のはあえて一言で形容すると、嬉しい、とか。昔の曲を4つ打ちアレンジでやってたのがすげえよかったんだが、あとに何も残さず全てその場で楽しみつくしてしまった感じで、何の曲だったかすら思い出せない。ついさっき書いたことを一気に覆す俺の豪傑ぶり。