俺は今日とにかく疲れていて、というか単純に空腹で、フラフラになりながら帰宅したのだ。


 コンビニ寄ってビールを買う。レジで下向いてバーコード読んでる店員の名札の顔写真をぼんやり見ながら考え事をしている。その次の瞬間。作業を読み終えて顔を上げた店員の顔、その顔があまりに名札の顔写真とそっくり過ぎて、俺は思わず噴き出しそうになった


 それでまもなく俺は持ち前の聡明さにおいて気づくのだけれども、似顔絵じゃなくて写真なんだからそっくりで当たり前なので、どうかしてるのはどうも俺のどうだ。




 好きだということをいつも意識しているわけではないしむしろ忘れていることのほうが多いのだけれども、ふとした瞬間になんとなく思い出して体を沈めることができる、ああ、俺にとってそんな音楽が果たして Rachel's なのであった。結婚式ではかけないけど葬式でかけたい音楽。

 ついに本が着いた。この「成し遂げた」感。




 青柳拓次のアルバムを借りてきたのだけれども、ここへ来て(といっても1年前だけど)もはや待望ですらない初めての個人名義のアルバムってことで、どう考えても悪いわけがなくて、まだあんまり聴きこんでないので感想とかはあれだけれども、初聴でわかるものすごい程度の高い「普通にいい」にすっかりどっぷりしている。




 聴いた音楽がいまいち定着しない、というかバンド名さえ覚えていない有様なので、ちゃんと整理しておこうと思って聴いたCDのメモ書きをエディタでちまちま付け始めてそのまま最初で最後の1回となったのが既に1ヶ月前。ちゃんとしたUIの元で整理したら身も入るのではと思い、その後いままで一度も触っていないpukiwikiを設置したのはその翌日。もうすでにwikiはこの用途に向いてないんじゃないかなーとか一度も書いてもないくせに思い始めていて、なんかそういうのに向いた汎用データ整理ツールみたいなのないだろうか、自分でmysqlになんか適当なフォーム組んだらいいだろうか、でもオンラインっていろいろあれだしsqliteあたりでデスクトップアプリにすべきか、でもRubyでデスクトップアプリってやったことないしJavaでやるほど本気でもないし、とか話はどんどんあらぬ方向に流れていって、俺の蔵盤データベース化計画はものすごい空中戦の様相を呈している。

 前回の続き。古本屋から返事来ねえなあと思ってメーラーの送信箱見たら、驚くべきことに送ったメールが全部文字化けしていた。そんなのどうやったら文字化けさせられるのか見当もつかないのだが、俺の潜在能力がピカってなったのかなんだか知らないけどとにかく文字化けしていて、俺のSOSは古本屋には「??? ?? ????????」程度にしか届いていなかったのだ。2通目出そうにも、たぶんもう本は旧住所のほうに届いている頃。仕方がないので当時の部屋を斡旋してくれた大学生協に電話して、大家の連絡先聞いて、電話。ポスト見てきてくれることになった。


 ここまでが昨日の話で、俺は今日の昼、演劇のチケットを取るために機関リダイアルしていて、ちなみに機関リダイアルというのは機関銃のようにリダイアルをするという意味の造語なのだが説明しないと全然伝わらないのですごい。で機関リダイアルしていたのだけれども、そのリダイアルとリダイアルのカンマ何秒くらいのあいだを縫ってすごい精度で大家から電話がかかってきた。本は宛先不明で郵便局に戻ってしまったのだが宛先変更は本人しかできない、とのことで、結局俺が郵便局に電話して、郵便局から直接転送してもらえることになった。これでなんとか、本は俺の元に届くはず。完。
しかしまさかネット通販でこんなことになるとは、インターネットもまだまだだといわざるを得ない。


 あと関係ないけど、チケット取るのがナビダイアルだったんだけどもあれすげえ使いにくいのな。アナウンスの途中でも数字が入力できますとか言ってるんだけど、入力した数字がむこうで認識されたのかどうかを確認しようがないから、なんか11桁くらいの数字を入力するところで5回くらい間違えた。3回くらい間違えたところで、数字が変なのでもう切ります、もう知りません、みたいなこと言われて勝手に切れた。そこからまた機関リダイアル突入で、その1時間後くらいに2回目かかったときの俺のボタンプッシュの慎重さときたら泥の船も沈まないほどだったと思う。それでも1回間違えた。電話もまだまだといわざるを得ない。

 口琴フェスティバルで買い逃した本があとから調べたらレア本だということがわかったのだが日本の古本屋で検索したら見つかったので即注文したところ日本の古本屋使ったのが6年ぶりくらいで登録してた住所も当時のやつでしかも本が即日発送されてしまいあまつさえメール便なので小包と違って本人確認もなく普通に先方のポストに配達されてしまうわけで慌てて郵便局に電話したところ宛先の変更は差出人からしてもらわないとできませんと言われ仕方なく発送元の群馬の古本屋にメールして今ドキドキしながら結果待ち中。




 ちょっとしか見れなかったのでこないだのレポートには書かなかったのだけれども、ポスポス大谷という人が気になったのでCD−Rを買ってきた。それで聴いてみたらとてもいい。アコーディオンの弾き語り。アコーディオンの音は穏やかな海面みたいだなと思った。歌は倍音きかせたダミ声〜ホーミーで、シンガーというよりは半分ポエトリーリーディングみたいなたたずまい。歌は一般的に伴奏に「乗る」って言い回しをされるけど、この人の歌は時に乗っかり、時に混ざり合い、という感じでかなり不定形で不思議な感触。これまで聴いたことのない音楽。myspaceで聴ける。


 でいろいろ調べてたら本場の人が似たようなことやってるのが見つかったんだけども、再生しててみたらこれはぜんぜん違うものだった。弾き語りとかそういうんじゃなくてもうなんつうか、大地。プレートテクトニクスとかそういうレベルの話。


 どっちもへヴィーローテーション中。

国際口琴フェスティバル in 東京“月”@渋谷 O-nest


 俺は大学の頃だったか高校のときだったかに買った口琴を、なぜだかずっとカバンの中に忍ばせて常時携帯している。それでこないだ九州大に取材に行ったときに、たまたまそのことで話が盛り上がって、東京で口琴フェスティバルがあるんだ、ということを教えてもらったのだ。あの日の熱も覚めやらぬ、という感じでもちろん行ってきた。
 

 2フロア2ステージだったので行き来しつついろいろ見ようと思ったけれども、1ステージが短いこともあって結局ほとんどメインのステージのほうにいた。これがもうたまらなく面白くて記憶を風化させるにはもったいないので、ここに書き留めておく。以下、中でも気になった人をダイジェストで。


 時々自動はこのイベントで知った。演劇方面の人たちなんかな。前半、口琴のキャラクターが登場するアニメーションを生アフレコつきで上映して、後半は持ち曲を口琴アレンジで。口琴の合奏のしかたが独特(フレーズの中の一音ずつを分担して割り振ってたり)で、面白かった。終盤になるにつれて管楽器なんかも登場して、大所帯なこともあって賑やかな空気に。口琴アレンジじゃない普段の演奏も聴いてみたくて、CDを買った。


 同じくサム・ベネットもはじめて知った人。口琴やら色んな楽器やらおもちゃやらをリアルタイム録音して、それをループしながらオーバーダブしていき、そこにブルースの歌を乗せていく。昔メタモルフォーゼで見たジェイミー・リデルを思い出した。演奏も面白かったんだけど、なんか1曲すげえかっこいい歌があったな。髪が燃えてる女の歌だと言っていた。


 パスカルズの知久さんは生で見たのは初めて。話し声は意外と高くないんだ、と思った。弾き語りを2曲くらいやって、口琴のエピソードを語りつつ最後に口琴。そこで使ってた口琴がなんかすごかった。3片口琴ってやつで、音の違うのが3本くっついてるやつ。ひとつひとつの音も、サイズが小さいからミヨーンみたいなちょっと電子音っぽい音で、俺はグッと魅かれてしまったので終わってすぐに物販見に行ったんだけど、なかった。絶対ネットで買う。


 巻上公一は何年か前にエルメート・パスコアルの来日公演で見て以来。今日は珍しい口琴を実演しながら紹介しつつ、同時にボイス(&顔)パフォーマンスを織り交ぜて。紹介された口琴は、可聴音域を越える低音口琴とか(!)、自動で振動する電気口琴、パイプを使った共鳴筒など。楽器紹介だけでも十分興味深いのに、間に変な顔とか変な声とか入れてくるので、どう転んでもおかしいって感じで、もうなんかずるい。


 そしてサハのアヤルハーン。物販で口琴売ってたおばちゃんに「ほんとにすごいから」って言われたんだけど、まさに。カッコウの鳴き声や馬のいななきや鍛冶屋のハンマーの音などを、おもわずアッと声がでるくらいのリアリティで鳴らすのだけれども、本物の音に似すぎていて、もはやそれが声まねなのか口琴によるものなのかわからない。いわゆる口琴のビヨンビヨンした音にそういう音まねが乗っかっていって、全体で天地創造だとか、聖職である鍛冶屋の仕事だとかを描写していく。3人の口琴から同時に倍音が放たれるともうものすごい密度で、空気中を完全に埋め尽くしてしまうような迫力。天地創造とかってものすごい大仰なテーマだけど、ああこれは天地創造だわ、って思ってしまうほど、圧倒的な音の「力」みたいなものがある。しかしこれだけいわゆる「唄」からはずれたものが土着の音楽だっていう事実はほんとに驚愕というか、なんか世界って計り知れないよなあ、と思ってしまう。

 
 長くなってしまった。予想以上にいろんな面白い音楽に出会えてすごく充実した時間をすごした。あと予想どおり、俺も口琴練習しよう、って思った。小さくて表現力豊かで、ほんとに愛おしい楽器だよなあこれ。

 俺が編み出したamazonの裏技100選。


 1.試聴がないときは、URLの co.jp 部分を com とか co.uk とかにどんどん変えていくとわりと見つかる。日本の音楽は除く。
 100.米盤以外の輸入版は特に、新品でもマーケットプレイスで買ったほうが安いことがある。でも送料入れると結果的に高くついたりするので注意。


 以上!




 drm.mp3


 サンプリング音源丸出しのトランペットでペペーペペーペペーとか入れたらすげえおもしれーじゃんゲラゲラ、とか思ってやって次の日に聴いたらぜんぜん面白くないパターン。


 しばらく書いてなかったらいろいろ書くべきことはあるのだけれどもどこから手をつけていいやら。


 ・THE HONEYMOON KILLERS がすげえいい
 ・インドネシア人の名前がロボット君
 ・聴いたCDを覚えていようキャンペーン即日挫折
 ・福岡取材


 福岡取材の楽しさときたらなかったので、俺はいまだに仕事中にあの日のことをポワワと思い出したりしている。内容についてはそのうち原稿をあげるけれども、大学の現代音楽分野の研究室で、同世代の研究者2人に話を聴いてきた。それで俺はといえば、取材の本題以外のところですっかり舞い上がってしまった。そのうえ本題のところでもすっかり舞い上がってしまった。そして本題だろうが脱線部分だろうがどっちもすげえ面白かった、というのがまた今回の取材の稀有なところだ。なんて濃密な一日。一例を挙げると、ナウシカのあの変な音楽の出所がプログレではなくテリー・ライリーだということがわかったりした。現代音楽については敷居の高さで敬遠ムードであったのが、今回の件で少し入り口が見えたような感もあり。構ってくれたお二人にはもうただひたすらにサンキュー、サンキューと思うばかりだ。




 Terry Riley と Terry Callier と Mara Carlyle は名前が似ている3人としてなんとなく同じくくりに入れていたのだが、こうやって並べてみるとぜんぜん似てないのな。さらに俺は「似てないのな」って6文字タイプする間に天才的に閃いたのだけれども、 Terry Riley と Tim O'Reilly ならけっこういい線いってるのではないか。オライリーにいたってはもはや音楽家でもなんでもないけど。